高気密住宅の壁貫通孔でプロが行う適切な処理方法
高気密住宅は優れた断熱性能を有して冷暖房効率がとても高いので、省エネ住宅として国が推奨している住宅の総称です。
昨今は、真夏の気温上昇が著しく、日本全国で40度を超える気温が観測されるようになってきてるし、35度を超える“猛暑日”や30度を超える“真夏日”、夜の外気温が25度を下回らない“熱帯夜”等が6月初旬から9月の半ばまで長きにわたって続くのが当たり前になってきているし、それに加えて物価高で冷暖房に掛かる電気料金も値上げラッシュで、1シーズンごとに家計に重く圧し掛かってくるのをヒシヒシと感じます。
そんな中でも高気密住宅なら高気密、高断熱なので熱効率が良く冷暖房費を低く抑える効果が期待できます。
しかし高気密がゆえに、ちょっとした隙間でも屋外との気圧差で外気を室内に引き入れる勢いが増してしまうので、建物にエアコンを新しく取り付ける等で壁を貫通するときには、後の処理を適切に行わなければ、気密性が保てなくなって、室内結露の原因になったり、常に風切り音がする状態になる可能性が高く貫通部の処理がとても大切になるので、このページでプロが現場で行っている処理方法や処理に使う材料等を紹介しますので、ご覧ください。
適切な処理を行えば、高気密住宅でもエアコンの後付けは可能なのです。
高気密住宅の壁構造
高気密住宅は冒頭でも紹介したように、きわめて気密性が高い高断熱住宅ですが、屋内外の気圧差が生じやすいというデメリットもあり、そのため小さなほころびでも外気が勢いよく屋内に侵入するので、ヒューヒューという風切り音が聞こえることがあります。
この風切り音の原因を特定するのは窮めて困難で、一度鳴り出したら完全に止めるのは至難の業ですし、ちょっとした調査では原因の究明はできないと考えておくべきです。
それだけにエアコンを取付けるために新たに外壁に貫通孔を開けるなんてことは無謀なことのように思えるでしょうが、そこは建築に携わる電気工事士としての経験から、適切な対処方法を熟知しているので様々な方法を駆使して、完璧な気密性を保つ処理を行っています。
しかしまず最初の段階として高気密住宅の壁構造を知っておくことが大切で、壁構造を知らずにいきなり壁に貫通孔を開けようとしたら、壁内に充填されている断熱材を痛めてしまったりして、断熱性能を損なう可能性がきわめて高いでしょうし、
壁の構造材が出てきて、貫通できない可能性も否定できません。
建物は全ての構造材が複雑に絡み合って、建物全体の耐震性等重要な要素を担保してるので、どこかに強度の弱いところがあると、大地震等では弱いところに力が集中してそこから家屋倒壊に至ることも考えられるので、構造材を傷付けることは絶対に避けなければならないので、貫通位置を決める時の予備知識として、壁の内部構造を頭に描きつつ、貫通位置を罫書いて
屋内側と屋外側で貫通に支障がないことを確認しなくてはなりません。
新築段階の竣工図があれば、その中に壁構造に関する図面も含まれているので図面で確認することができますが、中には竣工図を保管していないところもあったりするので、そうなると現場のプロとしての経験や知識で壁の中を推察するしかないので、経験値がものをいうことになります。
しかし在来工法のように「ここに柱があって」「ここに間柱があって」というように予測しにくいのが高気密住宅なので、
「ここは間柱だ」と思って孔をあけたら
「(゚△゚;)エッ柱が出てきた」なんてことがあるかもしれません。
しかし、455mmピッチというのが木造住宅の基本的な柱ピッチですから、このピッチで柱間隔は、およその見当がつくでしょう。

このように壁内部を頭で描いて、壁貫通位置を慎重に決めなくてはいけません。
紹介した455mmピッチは日本家屋の尺モジュールの壁寸法910mmの半分でスタッドがあるものと、
北米のフィートモジュールの基準16インチ(約406mm)が用いられる場合の2種類がありますが、
窓やドアなどの開口部には間柱(スタッド)が入るので、その分間隔が変わってきます。
壁内の構造は下の図を確認してください。

ご覧のように壁内部はほぼ空洞で、断熱材が床面梁下までビッシリ入れられています。
これが高気密住宅の一つの特徴です。
壁内部はほぼ空洞なので、柱や間柱を避ければ障害も無く貫通することができます。
高気密住宅では壁に一度穴を開けるとそこから空気が侵入するので、貫通作業の失敗は許されないので、慎重な上にも慎重な作業を心掛けてください。
貫通が無事終わったら、次は貫通部分の処理方法です。
エアコン配管用壁貫通部の処理方法
壁貫通部分の処理方法も高気密住宅なので、通常と違った処理が必要になります。
住宅の気密性を保つのが目的なので、ほかと同じように完璧な処理が求められます。
そのときに使うのが貫通スリーブセットです。

貫通スリーブセットを使って貫通孔の処理を行うのですが、

通常なら貫通スリーブセットをセットして、そのまま冷媒管を通すだけですが、高気密住宅では内壁、外壁部分のシールが不可欠なので、まず室内側の貫通スリーブのツバの部分の裏側にコーキング材を塗布します。
このときあまり多く塗りすぎるとツバからはみ出すので、あまり多く塗らないようにするのがコツです。
特にエアコン下部は慎重に!
ここまでできたら壁厚を測ってスリーブをセットして、貫通穴に取付けて室内機側の貫通部処理は終わりです。
スリーブをセットするときは、壁厚プラス3mm程度長くしておいてください。
これは、室外での処理を行うのに必要なものです。
続いて屋外側の処理を行います。
屋外側を見ると3mm程度長くした分、外壁より出ています。
この出てる部分の周囲にコーキング材を塗布し、コーキング用のヘラなどを使って、周囲に隙間ができないように成形します。
もしコーキング用のヘラ等が無い場合は、指を水に浸してコーキング材を成形してください。
これで屋外の貫通処理は終わりですが、すぐに次の施工に取り掛からないでください。
処理完了後すぐでは、コーキング材が乾いていないので、冷媒管を通すときに動いて隙間ができるので、少し乾燥するのを待ってから次の作業に取掛かっててください。
理想としては貫通後数日あけてから施工するのが理想です。
尚、冷媒管施工後も、冷媒管の周囲に隙間ができないように、シールパテやコーキング材を使って確実に施工するようにしてください。
より確実に行うなら、発泡ウレタンフォームを使うといいでしょう。
冷媒管施工後、隙間なく発泡ウレタンフォームを注入すれば完ぺきです。
高気密住宅で貫通穴を開けたときの処理は、ほかのものとは比べ物にならないくらい手間が掛かります。
なので高気密住宅では、建築段階でエアコンの取付け位置を事前に打合せしてその位置に貫通処理をしてもらっておくのが最善です。
ALC壁貫通時の注意点

