木造在来工法壁の大切さを知ってから壁貫通する。
木造在来工法とは「木造軸組工法」を称した現場関係者の呼び名です。
この工法で建てられた建物は、柱と梁で建物を支える構造なので、耐震化を担保するために壁の中には筋交いがあり、特に重要な壁には筋交いが襷に入っているので壁貫通の際には、特に注意が必要です。
また最近は、地震の揺れを抑えるための制振ダンパーが仕込まれてる壁もあるので、壁貫通時のコアドリルで傷付けるとその性能を損なう可能性があるので気を付けなくてはなりません。
日本中で相次ぐ巨大地震で数多くの日本家屋が倒壊したことから、国を挙げて住宅の耐震化が推し進められるようになってから、筋交いの重要性が再認識されるようになっていますし、エアコンの壁貫通で傷付けてしまっては、建物全体の強度を損なう可能性もあるので、見えない壁の中をイメージして、筋交いや柱を避ける位置を選ぶためにも木造住宅の壁構造を知っておく必要があります。
このページで在来工法（木造軸組工法）の壁構造を紹介して、回避できる位置の例を解説図を交えて紹介しますので、一度目を通しておいてください。
木造住宅在来工法の壁構造について
ここでいう在来工法とは、冒頭で紹介した通り「木造軸組工法」のことで、
その構造は基礎、柱、梁、筋交い、などで構成された建物のことです。
ですから、壁の中には筋交いや柱、間柱等が隠れてるので、安易に貫通しようものなら、これらに突き当たって貫通できないことになってしまうのですが、私たちのようにその構造を熟知してる者なら、そこで無理することなく、違う貫通箇所を探すものですが、
一部の取付業者の中には、強引に貫通してしまう業者もいるようで、酷いものは筋交いを半分以上削ってしまっているのを見たこともあるけど耐震構造上由々しき問題で、下手をすると大地震に見舞われたときに建物が倒壊したり、大きなダメージを負ったりする可能性がきわめて高い最悪の施工です。
こんな酷い施工にしないためにも木造住宅の壁構造を覚えて、壁の中を思い浮かべられるようにしておくことが大切だと私は思います。
壁構造と筋交い、壁貫通穴の関係
エアコン配管を通すための壁貫通を行うときに、耐震構造として重要な筋交い等が出てきたら大変なので、ここで壁の内部構造をCADで描いた解説図を交えて説明します。
在来工法の壁内部構造解説図
これが在来工法（木造軸組構造）の一般的な壁構造です。
見てわかるようにエアコン用の貫通孔の位置に筋交いが掛かっています。
筋交い遭遇部の拡大図と簡単な回避策
貫通孔に少し筋交いが掛かった部分を拡大した解説図です。
赤く着色した部分が筋交いにあたる部分で、この場合なら室内からの貫通はここまでにして、少し長いコンクリートビットで斜め下に向かって外壁に貫通をいれ、その後外部から壁を貫通すれば、エアコンの冷媒管を通すこともできて筋交いを痛めることもありません。
このように、貫通前に壁内の構造を思い浮かべることで、建物に損傷を与えることなく安全に作業することができます。
また、予め少しエアコンの取付け位置を下げることで、そのまま貫通することもできるでしょうが、
このあたりは少し経験が必要ですが覚えておけば事前に知ることができるので、無駄に建物を傷付けることもなくなるでしょう。
また、壁貫通時には壁内に断熱材が入っているので、コアドリルで巻込まないように注意してください。
コアドリルに巻きつくと、壁内の断熱材が無くなってしまうかもしれないし、何より巻きついた断熱材でコアドリルが回転しなくなり、ドリル本体が振られて手首を骨折する危険もあるので、壁1枚を貫通した時点で内部の確認を行い、断熱材が見えたら先に除けてから貫通を再開してください。
簡単な工具だといっても電動工具なので、思わぬ動きをしたときには人の力で制御できるものではないので、十分注意して作業するようにしてください。
高気密住宅 壁貫通時の注意点